テクスト: 中村文則『王国』 東京、河出書房新社、2015年。初刊は同社、2011年。

〔2016年12月30日(金)読了〕

『掏摸』に続く兄妹編である。『掏摸』の主人公は本作の序盤で1度だけひょいと出てくるだけで、別の主人公による別の物語が描かれる。ただし、某組織の人間は前作から継承している。

主人公、ユリカは一種のハニートラップ屋だ。ただし実際に体を使うところまではいかない。標的となる要人とホテルに入るが、標的を薬で眠らせ、自分がいっしょに寝ている写真を撮る。こうして要人の“弱味”を作る仕事を、命令されるままにやっている。

ある時、ユリカはそれまでと違う仕事をやらされることになる。標的の男から情報を盗めというのだ。その標的こそが、前作『掏摸』におけるあの危険な男だった。

時系列的には『掏摸』『王国』の順になるのだけれども、『王国』『掏摸』の順で読んだほうがいいのではないかという気がする。というのも、『王国』は良く書けてはいるが『掏摸』に比べて筋が見通しやすく、どうも軽い感じがするのだ。『掏摸』を読んだあとの『王国』はどこか物足りない。『王国』が悪いのではなく『掏摸』が重厚で良すぎるのである。

慰安婦問題について「最終的かつ不可逆的」な解決の合意などしたところで、どうせ韓国政府は最初から約束を守る気がないのだから無駄だし、実際この1年で無駄だったことがはっきりした、と私は思っていたが、日本政府がビシッとこういう措置をとれるということであれば、ちょっと話は変わってくる。

慰安婦像の設置は民間団体が勝手にやっていることだから政治でどうこうできない、というのは言い訳だ。韓国政府が国際条約と日韓合意に基づき、「外国公館の周辺に変なものを設置してはいけません。すでに設置されているものについては期限までに撤去しなければいけません。撤去されない場合は強制執行しますよ」という法案を国会に提出すればいい話である。簡単だ。もし韓国政府が(国会で法案が可決されるかどうかは別として)そういう動きだけでも見せていれば、日本政府も大使を一時帰国させるというところまではやらなかっただろう。

いや、大使の一時帰国といわずいっそのこと召喚までやってしまおう。ついでに通貨スワップ協定も停止で結構。約束を守る気のない国にはしっかりつぶれてもらうまでだ。

このユニットの持つ味というものがあって、それは彼ら3人がこの先もずっと続けてゆく上ではある種の枷のようなものでもありました。彼らが30代になった時は岐路に立たされるだろうなと、昔から思っていましたが、水野良樹と山下穂高が34、吉岡聖恵が32という年齢になって、やはりいったんユニットでの活動を休止するという選択に至ったのですね。

再結集を示唆しながらの活動休止。彼らが新たないきものがかりに変わるためのインターバルなのだと、私は理解しています。

いきものがかり「帰りたくなったよ」