アメリカのトランプ大統領も、ようやく自国の状況のやばさが分かってきたようです。

そりゃあ、あんた、早くからあちこちからの入国を制限したりしたにもかかわらず、あっという間に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死者数があんなに跳ね上がってしまえば、アメリカは大丈夫だなどと寝言は言っていられません。しかも、医療費がべらぼうに高い(初診料が300〜500ドル)のに加え、国民の1割が医療保険に未加入で、保険に入っていても窓口負担額が日本での自由診療なみという国柄ですから、連邦政府がドカンと手を打たないととんでもないことになります。

ところで、医療といえば昨今の日本国内の病院について「昨日病院に行ってみたけどすいていた。医療崩壊が起きるなどと言っているのは嘘だ」的な、ある意味で想像通りの言説も見聞きするのです。あのですね、病院がすいているのは、政府・厚労省の呼びかけに国民がきちんと応じ、ちょっと熱が出たくらいでみだりに病院に行ったりするのを控えているからだ、というのは中学生でも2秒で分かることのはずですが、どうもあの方面の陰謀論漬け脳は手の付けようがありません。

さて、まともな脳の持ち主は今日もきちんと手洗い励行で。

奇しくも東京五輪の聖火がギリシャで採火されたのと同じ昨12日、アメリカのトランプ大統領が五輪の延期に言及しました。

どうも東京五輪組織委の森委員長も、東京都の小池知事も、そして安倍首相もよく分かっていないようなのですが、今夏の開催は無理です。私の勝手な想像では、日本における新型コロナウイルスの感染拡大は3月中になだらかな山を越え、4月中には完全収束とまではいかないまでも明確に制御できている状態になりますが、一方、諸外国とりわけ欧米諸国は6月ぐらいまで悪化し続けると思われます。あちらでは7月に選手を送り出せる状態にないでしょうし、こちらとしても入国規制を解除して選手や観客を迎え入れられるような態勢は作れません。変に面子ばかり気にして無理に無観客試合なんてことをすれば、それこそかえって経済への負担ばかりが増して誰も得をしません。

五輪は、開催都市さえ問題がなければ開催できるというものではありませんよ。早いうちに、延期を前提として対応を進めるべきでしょう。水面下でやってくれているならいいのですが──。

さて、そのトランプ大統領、どうもこの人もよく分かっていないみたいで、アメリカは平気だ大丈夫だと変な自信があるようですが、自国の状況をもっと心配したほうがいいですよね。しかも、ひょっとすると彼自身がやばいのではないかという話も聞こえてきました。

トランプ氏なら、握手したあと手を洗わずに、大好きなハンバーガーを手づかみで頬張ったりしても何ら不思議ではないので、そろそろ潜伏期間が明ける頃ですし、何がどうなるかはしばらく様子見です。

また、アメリカの隣国カナダでもちょっと問題が起きていますね。

夫人はどうやらイギリスで罹患してきたようです。

この対ウイルス戦、まだしばらく続きそうですけれども、われわれはしっかり手を洗っていきましょう。本日は看護師の方からの手洗い情報をどうぞ。

感染症予防法に次のような条文があります:

第十二条 医師は、次に掲げる者を診断したときは、厚生労働省令で定める場合を除き、第一号に掲げる者については直ちにその者の氏名、年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を、第二号に掲げる者については七日以内にその者の年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。
一 一類感染症の患者、二類感染症、三類感染症又は四類感染症の患者又は無症状病原体保有者、厚生労働省令で定める五類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者及び新感染症にかかっていると疑われる者
二 厚生労働省令で定める五類感染症の患者(厚生労働省令で定める五類感染症の無症状病原体保有者を含む。)
2 前項の規定による届出を受けた都道府県知事は、同項第一号に掲げる者に係るものについては直ちに、同項第二号に掲げる者に係るものについては厚生労働省令で定める期間内に当該届出の内容を厚生労働大臣に報告しなければならない。
3 都道府県知事は、その管轄する区域外に居住する者について第一項の規定による届出を受けたときは、当該届出の内容を、その者の居住地を管轄する都道府県知事に通報しなければならない。
4 厚生労働省令で定める慢性の感染症の患者を治療する医師は、毎年度、厚生労働省令で定めるところにより、その患者の年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。
5 第二項及び第三項の規定は、前項の規定による届出について準用する。この場合において、第二項中「同項第一号に掲げる者に係るものについては直ちに、同項第二号に掲げる者に係るものについては厚生労働省令で定める期間内」とあるのは、「厚生労働省令で定める期間内」と読み替えるものとする。
6 第一項から第三項までの規定は、医師が第一項各号に規定する感染症により死亡した者(当該感染症により死亡したと疑われる者を含む。)の死体を検案した場合について準用する。

早い話、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死者を、医療機関、自治体、国などがそろって隠蔽することは不可能ですし、少なくともCOVID-19が指定感染症に定められて以降は見落としの余地もほとんどありません。

従って、「政府はオリンピックのために事実を隠蔽しているぅ! 実際は発表されている数の100倍くらいの死者が出ているはずだぁ!」的ないかにも厨二の陰謀論が好きな人は、恥ずかしいから黙ったほうがいいと思いますよ。

しっかり現実を見ながら、しっかり手を洗っていきましょう。陰謀論厨みたいな幼稚な脳の持ち主たちのために、今日は元保育士の方の動画を:

9年前、テレビは地震と津波被害の状況を昼も夜も伝え続けました。そして計画停電の実施が東京電力から発表されると、テレビが夜通し繰り返しそれを伝え周知させました。SNSなどでホーシャノーのデマが出回っても、テレビがそれに乗ることは基本的にありませんでした。ネットの時代とはいっても、やはり非常時にはテレビが果たす役割はあるのだと感じた人は、少なくなかったはずです。

ところが、今はどうでしょうか。新型コロナウイルスに関してテレビが平気で嘘やデマをばらまきまくっています。と言って悪ければ、視聴者の勘違いを増幅するようなことを意図的に言い触らしている、と言い替えましょうか。明らかに不安を売って金儲けをしています。ネットに接続するデバイスを持たないあるいは十分に使いこなせない、テレビを情報源にしている層が、やたらと買いだめに走ったりするのも、テレビによって嘘やデマを刷り込まれ、無用の不安を煽られていることが原因の一つでしょう。

9年でテレビはここまで落ちぶれてしまいました。もう駄目でしょう。これからは一気に信用を失ってゆくだけです。テレビで言っていることだからきっと嘘だろう、と思われる時代がもうすぐ到来します。

そんなことを考えていたら、IT界隈からも何か変なのが現れました。そう、9年前にも意気揚々と世のため人のためにと名のりをあげ、現場をめちゃくちゃにしてこっそり去っていった、あの人です。

これはかなりまずいです。社会を混乱に陥れる恐れがあります。

「え、何が悪いの? 孫さんが金を出して、100万人の希望者が検査を受けられるようにするって言ってるんじゃん。すばらしいことでしょ」──とか思っている、脳の中身が孫氏の頭髪なみに薄い人のために、簡単に説明しますね。

このような〈善意〉の検査で陽性反応が出たものの、実際には無症状あるいは少し家で寝ていればいいという程度の軽症の人が、大きな勘違いをして「孫さんの検査で陽性って出たんです! 私、感染してるんです! 専門の治療をしてください! 助けて!」と病院に殺到することになるのですよ。救急車を呼ぶ奴まで現れるかもしれません。

笑いごとではありませんよ。トイレットペーパー買いだめなどを見ても分かるように、世の中には馬鹿が多いのです。そして、孫氏提供の検査なんかに喜んで飛びつくのが、そういう種類の馬鹿ばかりであろうことは、容易に想像できます。

現在行われている検査(医師が必要と判断して患者に対し行っている検査)では、検査数に対して陽性者が5〜6パーセントですから、孫氏提供の検査(ちょっと風邪気味という程度の症状しかなくても希望すれば誰でも受けられる検査)ならもっとかなり低い率になるでしょう。仮に1パーセントとすれば、100万人の検査で1万人の陽性者が出ることになります。病院としては、いきなり1万人の外来患者が増える事態なのですよ。それも、本来は病院に来る必要すらないのにわざわざやって来て、治療しろ治療しろとしつこいモンスター・ペイシェントが、1万人です。どうするのですか、これ。

そんなわけですので、孫氏の提案にはさんざん批判が寄せられたため、2時間ほどで引っ込めることになりました。

賢明な判断といえるでしょう。

ところで、孫氏はなぜこんな企画を思いついたのでしょうか。普通にまともな感染症専門医や保健関係者と話を詰めていれば、こんなおかしなことは言いださないはずなのに。

そんな疑問に対する答えへの鍵は、ソフトバンクグループの医療関係企業、SBIファーマとSBIバイオテックの役員名簿の中にあるかもしれません。結構いろいろと分かりやすいからくりです(笑)

さてさて、孫氏の困った思いつきも無事つぶれたところで、われわれは例によって手洗い励行でいきましょう。無駄な検査100万件より、ひとりひとりの手洗いのほうが、感染症予防にはずっと効果的ですから。

新型コロナウイルスの感染拡大は、まさに予想していた通り、欧米諸国が次々と日本を追い越している今日このごろです。

単純に感染者数の比較というのはあまり意味がありません。それぞれの国で検査数や検査基準が異なるからです。熱が出てコンコンと咳をしているだけで片っぱしから検査にかけている国もあれば、日本のように医師が必要と判断した場合(主に院内感染防止のため)にのみ検査している国もありますし、アメリカのようにとっくに感染が拡大しているのが明らかであるにもかかわらずそもそも検査キットが少なくて事が進んでいない国なんてのもあるわけで、そんなバラバラな検査の結果として出てくる感染者数(無症状、軽症、重症、死亡、快復を含む)だけを比較するのは意味がありません。

しかしながら、重症者数や死亡者数ではそうした検査方針の違いによる差が生じにくいため、そこから逆算し、また対人口比などを考慮することによって、感染実態を概ね推測することは可能なわけです。そうして見てみますと、日本だけが感染拡大をよく制御できている一方、欧米では状況がかなり悪化していることが分かります。

また、日本国内の状況については、厚労省のデータを元に視覚化したドキュメントを「東洋経済オンライン」が公開してくれているので、大変参考になります。

さて、欧米人は日常的に握手やハグやチークキスをする習慣があるくせに手を洗わないから、欧米で感染が始まれば拡大は日本よりもはるかに速い、と私がよく言うのを、冗談半分の揶揄だと思ってしまう人が多いようなのですけれども、これは結構真面目な話をしているのですよ。あの人たちは本当に手を洗いませんから(個人差はありますが)。欧米で長く暮らしたことのある人などは、大概そういう認識を持っていると思います。

日本人の衛生観念は潔癖症としてむしろ彼らから笑われてきました──これまではね。しかし、今般の対ウイルス戦に最も持ちこたえることができるのは、潔癖症のわれわれです。

ということで、しっかり手を洗っていきましょう。