私は11日前に「日本における新型コロナウイルスの感染拡大は3月中になだらかな山を越え、4月中には完全収束とまではいかないまでも明確に制御できている状態」という予想を立てましたが、ひと月ほど延びるような感じがしてきました。というのも、今のような状況でさいたまスーパーアリーナでのK-1を強行開催する団体や、そこへ来る6,500人もの観戦客など、ある種の人々が日本社会にも一定割合で存在してしまっているからです。

もちろん、あのような大規模イベントも、開催側が万全の態勢をととのえた上、来場者がマスクをつけるとか入場前や退場後にしっかり手を洗うなどの対策を講じているなら、何とか許容できるかもしれません。ですが、あの手の人々にそんな危機意識を期待するのは難しいのです。

私も埼玉県民なので言わせてもらいます。K-1が開催されたのはさいたまスーパーアリーナですが、たぶん埼玉県内からの観客は1割程度でしょう。半数以上は東京からだと思います。今から2、3週間後、潜伏期間と軽症期間が過ぎたあとに、埼玉県外のあちこちで感染例が確認されたら、そのたびに「さいたまスーパーアリーナでの集団感染」と言われ、あんな埼玉県外の商売人どもとそれに乗せられる埼玉県外からの観客どものせいで埼玉が風評被害をこうむることにもなりかねないと思うと、腹立たしくてなりません。

といっても、私にできることは限られています。今日もきちんと手を洗いましょう。

新型コロナウイルスに関して日本政府が今やるべきことは、無駄にたくさんの検査をすることではなく、大規模な経済対策と軽症者が仕事を休みやすいしくみを作ることだ、と昨日書いたばかりですが、経済対策について変なニュースが──

感染拡大を防ぐため不要不急の移動を控えろと言っている時に旅行代金を助成するとか、一時帰休などにより収入が激減して悲鳴を上げる人が増えている時に消費税を下げないとか、頭がウニですか? ここはやはり思い切った政治判断が望まれるところです。財務省の言いなりになっている場合ではありません。

このニュース、私の見たところでは今は共同だけが出していて、他の媒体が追いかけている様子はないので、意図的なリークだろうと思います。先日来いくつかの案がチラチラと報道されていますから、世論の反応を見ているところなのでしょう。それにしても、こんな愚策はさすがにあり得ませんよ。

さて、政府の賢明な判断を願いつつ、今日も手洗い励行でいきましょう。

先日は孫正義氏のたわ言が話題になりましたが、今度は三木谷浩史氏です。

もう、いい加減にしてくれと言いたいですよ。なまじっか影響力がある人なのですから、言葉には気をつけてもらいたいです。

こういうふうに、新型コロナウイルスの検査をしろ検査をしろ検査数を増やせと言う人は、検査数を増やしてそのあとどうするつもりなのでしょうか。検査すればたちどころにCOVID-19が治るとでも思っているのでしょうか。

検査の結果が陽性であろうと陰性であろうと、基本的に治療は変わりませんよ。重症化して肺炎を起こしている患者なら肺炎の治療をしますし、軽症者ならただの風邪と同じ扱いになるだけです。違いといえば、COVID-19は指定感染症にされているので、感染が分かれば隔離されるということぐらいでしょう。今後は重症者にアビガンの投与などが進むと考えられますが、現状では重症者の場合の検査漏れがまずないというのは昨日の記事の通りです。

「欧州のような事態にならないように」と三木谷氏などは言いますが、では、みだりに検査をしまくるという欧州と同じことをすれば欧州と同じ事態になるということが、なぜ分からないのでしょうか。「欧州のような事態にならないように」するためには、欧州と同じことをしてはいけません。

検査は必要に応じて行えばいいのであり、不要な検査を増やすと弊害しかありません。もちろん必要な検査がすべて行えるようにするため、検査のキャパは増やすべきですが、だからといって不要な検査もやりまくるべきではありません。

今、日本政府がやるべきことは、みだりに検査数を上げて三木谷氏みたいな人たちの気分を満足させることではありません。目下の〈コロナ不況〉への大規模な経済対策や、風邪でも仕事を休みやすいしくみ作りでしょう。

そして、われわれ一般人がやるべきことは──そう、手洗い励行です。

一昨日の記事で欧米人の勘違いについて書きましたが、まさにそれを象徴するような報道記事がまた出てきました。ロイターが〈新型コロナウイルス検査が進んでいる国ランキング〉などというくだらないことを──

感染者数ランキングもそうですが、こういう比較はあまり意味がないのですよね。医療関係者からの情報をしっかり読めば分かることであり、私のごとき素人が偉そうに言うべきことでもないのですが、いつまでもこういう質の悪い記事がマスメディアから出回り続けるので、私の理解している範囲でざっくりと述べておきます。といっても、全部書くと長くなるので、重症患者の場合に限定して。

日本では、肺炎になりかかっているもしくはすでになっているとみられる患者に対して、すぐCTスキャンを撮ります。日本は世界から見るとCTスキャナーが馬鹿みたいに普及していて、これは日本の医療界の強みです。

「日本のCT・MRI・PET保有数は世界何位?|医療機器数ランキングを世界各国で比較」 << 「ラボコート」

CTスキャンが撮れると、肺炎の状況が具体的に分かります。ウイルス性のものか他のものかというのも分かります。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)はもちろんウイルス性です。

さらに、COVID-19とおぼしきものにはそれなりの特徴があるため、疑わしければ医師がPCR検査に回すことを判断します。きょうび医師も院内感染にかなり神経をとがらせていますから、やばそうであればちゃんと検査に回します。ですので、日本のデータでいう新型コロナウイルスの「感染者数」がすべての感染者を拾えているとはいえないものの、COVID-19の「重症者数」「死者数」にはほとんど漏れがないと考えられます(少なくとも指定感染症に定められて以降は)。

このように、日本では感染の疑わしい患者をかなり絞り込んだ上で検査に回していますので、当然、検査数は多くなりません。一方、諸外国では、たとえ先進国であっても、CTスキャナーの数が日本に比べるとものすごく少ないため、ビシバシと多くの人に対して検査を行わなければなりません。結果として、日本での検査数は他国と比較するとものすごく小さくなるのです。

かくして、日本の医療者の方々は充実した機器をもって新型コロナウイルスに立ち向かっているのが実情です。われわれ一般人はわれわれのできることを──そう、手洗い励行を心がけましょう。