新型コロナウイルスのワクチンについてのニュースが立て続けです。

ブースター接種の目処が立ち、その有効性も確認され、そして満を持して〈信頼の日本製〉も投入されるということで、少なくとも日本では来年のうちに新型コロナをほぼ制圧できてしまいそうな勢いです。

日本はワクチン接種が遅いので経済回復は先進国の中で最後になる──などと、日本とは桁違いにおびただしい数の感染者と死亡者を出し続ける欧米から勝手な予測を立てられていたのが、遠い昔のようですね。ほんの数カ月前なのですが。

「ゼロコロナ」を目指すべきだと主張する人や団体は少なくありません。文脈としては「ウィズコロナ」ではなく「ゼロコロナ」ということですね。つまり、新型コロナウイルス対策を進めつつ経済活動も両立させてゆくのではなく、まずは新型コロナの撲滅が先、経済の回復なんか後回しだとする考え方です。

厳密に何をもって「ゼロコロナ」と称するのかという明確な定義はないのですが、少なくとも立憲民主党は公式に明示していたようで──

東京オリンピック・パラリンピックについては、開催全期間についてzero コロナ状態が実現できない限り開催するべきではない。したがって、速やかに開催地域をzero コロナ状態(東京では週平均で1日あたり50人未満)とした上で、その状態を維持するための検査や入国管理の徹底、人流の抑制等が必要である。

立民党の独自の定義では「[新規感染者数が]東京では週平均で1日あたり50人未満」を「zero コロナ状態」としていたのですね。

そこで東京の現状は──

出典: 「新型コロナウイルス国内感染の状況」 << 「東洋経済オンライン」(21日21時50分)

政府の新型コロナ対策は大失敗だと罵り続けている立民党の定義によるところのゼロコロナ状態を、ウィズコロナでやって来た政府が達成してしまったようです。立民党はもう引っ込んでいいですよ。

まあ、これから第6波の襲来も予想されることですし、その時にはまた彼らも大はしゃぎするのでしょうなぁ。政府を攻撃するネタさえ生まれるなら国民が苦しもうがなんだろうがかまわない、という根性の人たちですからなぁ。

政府の新型コロナウイルス対策は大失敗だったと叫び続ける人たちには、一体どんな現実世界が見えているのだろうか。一体どんな根拠をもとにそんなに自信満々で実情に反することを主張し続けているのだろうか。「嘘も百回言えば真実になる」を実践しているのだろうか。

ワクチン接種が驚異的な速さで進み1年かけずに完了するとか、猛威を振るったデルタ株が急激に抑制されるとかいった事象は、とにかく政府をたたきたいだけの根性の彼らにとってよほど想定外で受け容れがたい展開だったのだろう。認めたくない気持ちは分からないでもないが、事実を認めないと前に進めないということを理解すべきである。

もちろん政府の対策が完璧だったとはいえない。失敗だった部分はいくらでもある。しかし、それらが「大失敗」と言われ、対策全般を否定する理由になるほどのものかといえば、決してそんなことはないだろう。

さて、第5波が収束したと浮かれている時ではない。もしかしたら、ワクチンのおかげで感染者のほとんどが無症状で済んでいるだけであり、数字として出てきにくいだけかもしれない、ということも考えられる。そして、きたるべき第6波への備えが必要だ。これまでの対応で不十分だった点、間違いがあった点などを早急に検証し、次へつなげなければならない。ただし、その議論において、政府の対策が大失敗だったとひたすら連呼する者らの言葉は、役に立たないどころか害でしかないだろう。何せ、一体どんな現実世界が見えていて、何を根拠に物を言っているのか分からない者たちなのだから。

「有閑倶楽部」という少女漫画がありまして、ずいぶん昔、妹が持っているのを借りて読んだことがあります。その中に、確か娘が身代金誘拐に遭ったか何かの事情だったと思いますが、大富豪マダムが執事を呼びつけて、銀行から億だか十億だかの大金(彼女にとってははした金)を今すぐ下ろしてこいと命ずる場面がありましてね。執事は休日だから無理だと言うのですが(休日ではなくて深夜だからだったかもしれませんが記憶が曖昧です)、それに対してマダムは、今すぐ頭取に話をつけなさい、言うことを聞かないなら私の預金を全額引き出すと言いなさい、と言い付けるのです。

まさか現実にそれをやる人がいるとは思いませんでした。

映像に写っているロゴからすると上海銀行という銀行のようですが、まあ、数億円の引き出し程度で傾くことはないでしょう。

ところで「有閑倶楽部」ですが、少女漫画とはいってもギャグ漫画のたぐいで男でも十分楽しめますから、ぜひどうぞ。この時代、ネットでも読めますので。

明日、衆院選が公示される。選挙区の候補者名や比例区の党派名を前に、誰に投票しようか、どの党に入れようかと迷うものだが、とりあえず、以下に挙げるNGワードを使う候補者や党派は少なくともリストから外しておいたほうがいいだろう。

NGワード その1: 「モリカケ問題再調査」

私が何度も書いてきたことだが、「モリカケ問題再調査」というのは要するに〈安倍氏が証拠を隠しているせいで、安倍氏がどういう悪いことをしたのか分からないが、安倍氏が悪いことをしたに決まっているので、安倍氏が悪いことをしたという結論が出るまで何度でも再調査しろ〉と言っているだけである。こんなことをいつまでも真面目な顔で言っている候補者・党派は、もはやそれだけで論外であり、まともに取り合う価値もない。

〈加計学園が獣医学部を新設できたのは、加計氏が安倍氏と友達だからだ。そうに決まっている〉とか、いくらいろいろこじつけてみたところで、冷静に聞いてみれば論理が粗雑すぎてアホとしか思えないだろう。もし安倍氏と親交のある人がビジネスで何かうまいことをしたら、そのたびに「裏で安倍氏が──」と騒ぎにする気か。

もちろん、例えば将来、安倍氏が何らかの経路で怪しい巨額の金を得ていた可能性を強く示す材料などなどが出てくれば話は別だ。しかし、今のところ〈安倍氏が悪いことをしたに決まっている〉と喚いているだけなので、まるで意味がない。

「モリカケ問題再調査」をいまだに言う人は、政府の不正を追及したいのではなく、ただ単に政府にケチをつけるネタが欲しい、なければ作りたい、というだけのことであり、そのせいでどれだけ国会が空転して政治が滞り国民生活に悪影響が出てもかまわないのである。いやはや、政治家としてという以前に人としておかしい。

NGワード その2: 「内部留保」

いわゆる企業の内部留保に課税することは不可能だ。こんなことは会計をやっている人に訊けば一発で分かる。青色申告の自営業者などでもいい。なんなら商業高校で簿記を習っている生徒でも分かる話ではあるまいか。何せ、ちょっと帳簿をかじっただけの私でも分かるくらいなのだから。

まあ、明日にでも自分の会社の経理に行って、会計担当の同期社員にでも訊いてみてはどうだろう、「内部留保に課税ってできるの?」と。2秒で答えが返ってくるはずだ、「できないよ」─。厳密にいえば、その「内部留保」に該当する勘定項目が分からない、たぶん定義は無理だ、という話になる。

これは過去十数年に渡って、内部留保云々の議論になるたびずっと言われ続けてきていることであるにもかかわらず、全然学習してくれない人たちがいるのだ。企業の内部留保に課税して貧しい庶民に分配しろなどと、いまだに言っている。

企業から法人税やらなにやらいろいろ取った上で、収支が黒字だったら黒字分をすべて税金として取り上げろ、もし黒字分で新しい機材を買ったりしていたらその機材を売却させて全額納税させろ──これはもう鬼だ。いや、鬼ですらそこまでやらないのではないか。儲けているのは悪い企業だから、儲けを取り上げてつぶしてしまえばよい、とでも思っているのだろうか。全然理解できないけれど。

政策論争以前の問題である。

NGワード その3: 「ゼロコロナ」

もう何も言うまい(笑)

一つだけ言っておくと、あの中共があれだけ強権的な手法を発動しまくっても成し得ていないゼロコロナなるものを、どうやって実現するつもりなのだろうか。