しかし、それでもなぜ国民は、安倍内閣を支持するのか。僕の長いジャーナリスト人生でも、これだけ問題山積みの内閣が、支持率を下げるどころか、上げるなんてことは初めてだ。

つまり、自分たち賢明なるジャーナリストたちの誘導するほうへ民意が動かないのはおかしい、民意のほうが間違っている、ということのようだ。

こういうのを見ると、報道界の人間は本当に問題を理解していないのか、理解できないのかと、ため息が出てくる。

一言でいえば、そんな報道界を、そんな報道界だからこそ、国民が信用しなくなりつつある、ということにすぎない。

メディア・リテラシーのある人間であれば、特に関心事については、例えば記者会見でのやりとりを報道媒体が恣意的にまとめた記事を読んで鵜呑みにするのではなく、記者会見自体の動画や文字起こしにアクセスする。特定の〈正しいことが書かれている新聞〉の社説ではなく、ネットなどで交わされる種々の是非賛否の意見に触れつつ考えるようになっている。

ジャーナリストの多くはそんな時代状況を全く理解せず、前世紀のままの脳で、自分のペン一本で社会を動かせる気になっているから、的外れなことばかり言い続けるわけだ。

上記の記事についても、全体的にツッコミどころだらけなのだけれど、書いている田原氏は自身の問題に全く気づいておらず、なぜ自分の思惑通りに民意が動かないのかと苛立っている。そして、これは彼に限らず多くのジャーナリストたちにみられる症状であり、しばしば「日本社会がウケーカしているせい」とか言いだしたりするのはよく知られているところである。

ネットの一部方面でよく使われる「マスゴミ」というスラングは、私は好きではないので使わないようにしてきたのだが、使いたい気持ちも出てきている今日このごろだ。ここ1年余りの報道メディアの多くは本当にひどい。

提出された文書[財務省が提出した、森友学園の土地取引をめぐる記録]には、3年前の秋、首相の妻昭恵氏付の政府職員から、国有地の貸し付けをめぐって問い合わせを受けたときの応答メモもあった。

職員は「安倍総理夫人の知り合いの方(学園の籠池泰典前理事長)から、総理夫人に照会があり」と説明したうえで、学園が求める優遇措置について財務省の担当課に尋ねていた。

[同]

典型的な〈築地話法〉である。安倍昭恵氏付の政府職員から理財局が「問い合わせ」を受けたとか、「学園が求める優遇措置について財務省の担当課に尋ねていた」とか、昭恵氏の〈影響力〉によって土地取引額が下げられたと断言せずにそのような印象を読者に与える書き方だ。一方、肝心要の「応答メモ」の内容については、少なくともこの社説の中では一言も触れていないし、報道記事においてもろくに触れないという、いつものやり方である。

何カ月も前に片づいたはずの話なので今さらいちいち言うまでもないことなのだが、〈築地話法〉にだまされる人も多いので、一応述べておこう。件の「政府職員」の「問い合わせ」には財務省から返答があったが、「国側の事情もあり、現状ではご希望に沿うことはできないよう」だとの旨を同職員は森友学園側に伝えている:

つまり、けんもほろろに〈丁重にお断り〉されてしまっている。とてもではないが、昭恵氏が取引額に関して〈影響力〉を持っていたと解するのは無理である。

また、上記社説では、早い話が〈財務省がないないと言い続けてきた文書が出てきた。あったじゃないか。財務省の嘘つきめ。やっぱり首相夫妻は森友問題で不正を働いたのだろう。そうに違いない。きっとそうだ〉という感じのノリなのだけれども、しかし、このたび出てきた文書に、首相夫妻の不正行為の証拠となり得るどんな記述が見つかったのかというと、全く述べていない。それはそうだろう、そんな記述はないのだろうから。

ちなみに、このたびの文書により白日の下にさらされたのは、首相夫妻の不正ではなくて、籠池夫妻被告の悪行の数々であった:

財務省が国会に提出した学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る交渉記録では、詐欺などの罪で起訴された前理事長、籠池泰典被告(65)と妻、諄子被告(61)が執拗に値引きを求めていた。「あんたら罰が当たるぞ」「裁判で訴える」。時に声を荒らげながら、一瞬のスキをついて主導権を握る生々しいやりとりが浮かび上がった。
[「籠池夫妻、執拗に値引き要求」 << 「日本経済新聞」]

「あんたら、いじわるや。死んだら地獄に行くぞ」「もう止(や)めだ。鬼、悪魔。あんたらばちあたるで」「お前らは信用できない。子供にも祟(たた)るぞ」

近畿財務局が、森友学園側と国有地の売買予約契約などを進める過程で残した応接記録には、副園長だった諄子夫人の「罵詈(ばり)雑言」の数々が克明に記されていた。

例によって築地や一ツ橋や内幸町の紙などアレな媒体はもちろん、圧倒的多数の媒体はこういった事柄について〈報道しない自由〉を行使している。〈とにかくアベが悪い〉と唱える上では不都合だからだろう。それはその手の媒体が昔からやってきたことではあるけれども、ここ1年余り、いわゆるモリカケ問題などをめぐる記事では特にひどくなっている。もはや報道とは呼べない域になろうとしていると言わざるを得ない。

まあ、強いていえば、今回の文書に関する報道において、NHKはバランスがとれているようだ:

さらに野党は、誰が嘘つきかを尋ねる街頭アンケートを行ったり、加計学園の本部に押し掛けたりするなど、なりふり構わぬ手を打つ考えです。

仮にも政治家たる者の言動なのでしょうか。発想がもう完全にカツドーカです。

これ、実際にやらかしたら威力業務妨害に当たる可能性が強いですから、加計学園としては断固たる措置をとるべきです。

未確認ですが、同学園はすでに在校生たちに「教育・研究に支障のないよう静穏な環境の保持に努めますので、学生・生徒の皆様に置かれましては、普段通り勉学に励んでいただきますようお願いします」というメッセージを配信しているとか。

昨夜開かれた日本大学アメリカンフットボール部の内田前監督と井上コーチの記者会見により、私なりに理解したことを、並べておきます。

  • コーチ1人に全責任をかぶせて監督は逃れることで話がまとまったので、緊急記者会見を開くことにした。
  • あくまでも反則プレーをした選手自身が悪いことにしたいが、収拾をつけるためとりあえずコーチ1人が全責任をかぶることにした。
  • 部としてのみならず大学として、学生を見捨てることにした。
  • 司会を務めた広報担当者が無能。

やらないほうがよかったのではないでしょうかね、こんな記者会見。

学生スポーツは健全で美しいものである、という幻想などもともと持っていない私ではありますが、それにしてもこの件はあまりにも選手がかわいそうだと思います。

いわゆる加計学園問題に絡んで愛媛県から出てきた 怪文書 新文書をめぐって、なかなかおもしろいことになっています。

これはメモというかレジュメというかまあそんなものにすぎず、さらにいろいろとツッコミどころ豊富なブツなのですが、それらすべてを書いていると切りがないので、ここでは内容の一点に絞っておきます。

件の文書には「2/25[2015年2月25日]に理事長[加計氏]が首相と面談(15分程度)」という記述があります。

多くの新聞(特に全国紙)には日々の首相動静を伝える欄がありますから、当該の日の首相の動きはそれを参照すれば分かるわけです。もちろん各紙の記録をさらうのが一番ですけれども、世の中にはそれを個人がまとめてくれている便利なサイトもあったりします。

一覧しての通り、どの紙を見ても '15年2月25日に安倍首相が加計氏と面談したという記録はありません。

報道メディアもこのことに気づいてしまったようで、実はこっそり隠れて会っていた可能性があるなどと言い始めました。何だか「悪魔の証明」の話になってくる感じです。

ただ、首相動静に表れない「密会」が日常的に行われているとの証言もある。官邸や公邸に記者の目に触れないように出入りするのは容易とされており、動静だけで判断するのは難しい。

いかにももっともらしいことを書いているように見えます。しかし、安倍首相が友人の加計氏と日頃から会食したりゴルフをしたりしていることは全く隠していませんから、わざわざこの時だけ官邸で「密会」する必要などないわけです。

あーあーあー、当事者双方とも面会を否定しちゃいましたよ。どうするんですか。

と思っていたら──

一体何ですか、このオチは(笑)