BSEの問題が騒がしかった頃、吉野家の倉庫にあった牛肉から、特定危険部位が見つかったことがありました。これは吉野家が検品した際に発見したものでした。

私はこのニュースを聞いて、吉野家の管理がしっかりしていることに感心したものです。ところが、世間には「怖くてしばらく吉野家に行けない」などと言う人もいたのですよ。情報の解釈が狂うとそうなってしまいます。

それと同じような構造の出来事が、今日もありました。

全国の警察が4月中旬までの約1カ月間に取り扱った変死体のうち、埼玉、東京、神奈川、三重、兵庫5都県の計11人が、新型コロナウイルス感染を確認されていたことが20日、警察庁への取材で分かった。

つまり、変死体も、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が死因として疑われる余地があれば、死後にちゃんと検査がされています。確認されている「感染者」の中に軽症者・無症状者がすべて集計されているわけではない一方、「重症者」「死者」に漏れはほぼないといえる、と私が先日来言ってきているのは、こういうことです。

「変死」というと何となく行き倒れみたいな印象がありますが、ざっくり言えば、きょうび病院以外で死んだ場合はたいてい「変死」に該当し、警察が関わってきます。上記記事中にもあるように「自宅で死亡した人」も原則はそうです。

ところが、このニュースを全く逆の意味に解する人がかなりいるみたいなのですよね。「COVID-19での死亡なのに、そうと分からないままの変死体が多くなってきたらしい。怖い」などと喚いているようです。そういうのを、機能的非識字といいます。

さて、先週の東京都での日ごとの新規感染確認数は、抑制されてきた感がありました。100、200、400、800…というふうな、恐れていた指数関数的な伸びになることはなく、集計の母数が増やされたにもかかわらず概ね100台で収まりました。今週は7都府県の緊急事態宣言発効から2週間の時期を迎え、はっきり減少傾向に転じてほしいところです。

また、わが埼玉県でははっきり減少傾向が見られます。東京都ほど状況が悪化する前から都と足並みをそろえてきた効果が出てきているのでしょう。

しかし、これで決して気を緩めてはいけませんね。そういうことは先月の3連休でもありました。新型コロナウイルス禍との戦いは長丁場です。緊急事態宣言が5月6日から延長されるのは避けようがありません。2月ごろの私は、日本でのウイルス禍は4月までに終息すると予想していましたが、見方が甘かったようです。

気を抜くことなく、しっかり手洗い励行でいきましょう。