あなたの家の前の公道が封鎖されたら
商船三井の船舶がホルムズ海峡を通過した、という「Bloomberg」による報道が今日未明あったのですが、さっさと商船三井がそれを否定するニュースリリースを出しました。それに応じて「Bloomberg」も記事を追加訂正しています。
- 「イラク産原油積んだ超大型タンカーがホルムズ海峡通過」 << 「Bloomberg」
「Bloomberg」はイラン筋から情報を得たのではなさそうなので、イランによる情報撹乱ではなくて、船舶の信号の読み違えか何かのようです。
原油タンカーについては、さらにこんなニュースも入ってきましたね:
- 「ホルムズ海峡を通らない代替ルートの原油タンカー、1隻目が28日到着見込み 赤沢経産相」 << 「産経ニュース」
サウジアラビアを横断してペルシャ湾から紅海に原油を回すパイプラインというのが実はありまして、そちらを使うことになったわけです。ただし、日本が必要とする量の原油をこのルートで十分にまかなえるか分かりませんし、また輸送コストは上がりますから、日本に到着する時点での原油価格は抑えられつつも高止まりになるのでしょう。とりあえず日本が干上がるのは避けられるのかなという感じです。
ところで X (旧Twitter) をながめていますと、ホルムズ海峡について根本的なところで勘違いしている人が多くてびっくりしますね。通行料を払えばホルムズ海峡を通してやるとイランが言っているのだから、払って通らせてもらえばいいではないか、とか。
あのですね──ホルムズ海峡はイランの領海ではないので(厳密にいうと半分だけがイラン領海であとの半分は対岸のオマーン領海)、イランが勝手に封鎖できる法的根拠も権限もないのですよ。もしある日突然、あなたの家の前の公道をチンピラ風情が封鎖して、通りたかったら金を払えとかほざいたら、あなたはおとなしく払うのですか、という話です。普通は警察に通報するでしょう。
イランに対しては、ホルムズ海峡を通らせてくださいとお願いする必要なんかないのです。さっさと通らせろという姿勢でよいのです。あなたの家の前の公道と同じです。
このたびの戦争、そもそも攻撃を仕掛けたアメリカとイスラエルに非があることは確かです。けれども、だからといって、それに対するイランの反応がすべて正当化されることにはなりません。周辺諸国へのヤケクソ八つ当たり報復攻撃(アメリカ軍基地がある所などを狙うだけならまだしも、ドバイ空港への攻撃とか明らかに過剰)のせいで、湾岸諸国は激オコですよ。国連安保理もそういうのはやめろと決議していますし、このほどG7も足並みをそろえて非難しました。その上ホルムズ海峡封鎖ときたら、もうイランは世界を敵に回す気が満々としか思えません。