共産党が他の野党とともに「国民連合政府」なるものの樹立を目指すそうだ。

非自民で連合しようという発想自体は悪くない。過去には政治改革という当初の目的だけは一応果たした細川連立政権の例があり、同様に安保法制廃止を目的とする暫定的な連合政府があってもよい。

野党大団結による「国民連合政府」を実現する手立てについて、少し考えてみたい。

SEALDsなどが脚光を浴びたせいで誤解されているが、産経新聞社とFNNの世論調査によれば、実際は若い世代のほうが安保法制に肯定的な傾向がある。つまり「国民連合政府」構想にとって、“政治に関心のある若者”は邪魔であるから、彼らが選挙に行かないように工作する必要がある。

「若い人たちは選挙なんて行かなくていいですよ。徴兵制になったらいつ兵隊に取られるか分かりませんから、投票なんかでせっかくの休日を無駄にしないで、青春を謳歌してください」とか何でもいいからテキトーなことを言って、若者を投票から遠ざける必要がある。若者とて普通はそんな話にだまされはしないが、中にはSEALDsみたいな馬鹿も一定数いるので、ある程度の効果はあるだろう。

もちろん、本来ならば自らの政策をメディア等を通じて言葉を尽くして広く国民に訴え、理解を集め、安保法制賛成の人々を反対の側に引き込むというのが政治家のあるべき姿ではある。しかし、劣化しきった今の野党各党にそんなことのできる能力がないことは、今国会を見てきても明らかであるから、やはり姑息な手段を選ぶのが無難だ。

一方で、安保法制に反対の若者たちをうまく煽り、国会議事堂前での派手なデモを催行させることも大事である。そうすれば、従前の状況からも分かる通り、報道メディアはあたかも若者の大多数が安保法制に反対しているかのように喧伝し続けてくれる。そうして作り上げられた「国民の声」に野党各党が同調してみせれば、無能だけれども「国民の声」を聞いてくれる党なのだという印象を衆愚に与えることができる。ただし、党の下部組織のカツドーカに「普通の学生たち」を装わせるようなやり方は、情報化社会の今、簡単に見破られるのでやめておいたほうがよい。

「国民の声」が安保法制反対一色であるにもかかわらず、野党が選挙で敗れてしまう場合に備えて、不正選挙疑惑など各種の陰謀論の準備もしておくべきだ。「国民の声」が選挙結果に反映されないのは、政府・与党が裏で何か悪いことをしているせいに決まっているので、その裏付けとなる(ように見える)証拠を用意しておくのである。針小棒大、歪曲、捏造、何でもいい。政府が報道各社にこんな圧力やあんな圧力をかけたとか、それらしいネタを仕込んでおく。「防衛省の内部文書を独自に入手」なんてのは某党の得意とするところだろう。

ところで、本記事の冒頭において、このたびの「国民連合政府」構想をかつての細川連立政権になぞらえるかのような書き方をしたが、これは同政権に関わった人たちに対して礼を失しているように見えるかもしれない。関係者の方々への悪意はないことを付け加えておく。

また、私が「国民連合政府」構想を揶揄していると思う人がいるかもしれない。私としては、揶揄だということが読者に分からないように気を遣って書いたつもりだが、もし分かってしまうのだとすれば、私の表現力の拙さによるものであるので反省したい。