テクスト: 二宮敦人『悪鬼のウイルス』 東京、文芸社、2015年。

〔2015年9月17日(木)読了〕

鉄道マニアが言うところの「秘境駅」のある村へ、東京の高校生男女4人組が遊び気分で「探検」に行く。そこにあったのは、武装した子供たちに占拠され、大人たちが地下牢に閉じ込められている村だった。高校生4人も子供たちに捕らえられ──。

やや厚みのある本だが、内容が薄いのでスイスイ読める。いささかグロな描写も出てきて、これは食前食後に読むのはよろしくないなと思いつつ、食後に読んでいた。

文章は稚拙なのだけれども、前半での謎のかけ方がうまいから、結構引き込まれて読む。そうして期待をふくらまされただけに、後半で謎解きされた時のそのあまりの浅さや、いろいろな意味での詰めの甘さに拍子抜けしてしまった。

まるで山田悠介氏の本をうっかり読まされた気分だ。いや、あれよりはましだが。

実は、この記事を書くために奥付を確認した時に初めて、出版元が文芸社であることに気づいた。書店の棚からテキトーに取って買ってきてしまった私の間違いである。今後気をつけよう。