日本と台湾は東夷だから中華に従えと言う似非リベラル
台湾有事発言の関連では日々次から次へとネタが出てくるので追いつけないくらいなのですが、とりあえず〈今まで分かっていたけれど何となくぼんやりしていたあれこれ〉がはっきり炙り出されてきたという点は、この騒動による好影響の一つだといえるでしょう。
例えば、日本におけるいわゆるリベラルの多くは、私が常日頃から「似非リベラル」と言っているようにちっともリベラルではないことを、彼ら自身が明らかにしてきています。
彼らの正体はやはりファシストであり、帝国主義者でした。
日本人は「華夷秩序」という中国のコスモロジーを理解しないと始まらないと思います。本来中国には「国境」という近代的な概念はないんです。中華皇帝が世界の中心にいて、そこから「王化の光」が同心円的に広がる。中心から遠ざかるにつれて暗くなり「化外の民」が蟠踞する辺境になる。 https://t.co/HFmAWDU3dr
— 内田樹 (@levinassien) November 26, 2025
辺境は王化の光が届いていないので中華皇帝はそこを実効支配はせず、「東夷北狄西戎南蛮」たちの高度な自治に委ねる。蛮族でも皇帝に朝貢すれば官位を与え、豪華な下賜品を贈る。だから、台湾の自治は「よくある一国二制度」として看過される。ただし独立は許さない。
— 内田樹 (@levinassien) November 26, 2025
辺境は「独立」を宣言しない限り、長期にわたる高度な自治を許されます。さしあたり台湾市民の人権と自由を守るためには、中国の人々が「中華的コスモロジー」を深く内面化していることが望ましい。それが僕の考えです。
— 内田樹 (@levinassien) November 26, 2025
端的に言うと、台湾は「化外の民」だから中共の「王化の光」に従属しろということです。いやぁ、「化外の民」なんて概念は清朝時代で終わったと思っていましたがねぇ。
読んだ時はさすがに目が点になってしばらく動けなくなりましたよ。アカウントが乗っ取られたのではとさえ思ったくらいです。
まさか、この21世紀、令和の時代に、中華思想(「華夷秩序」「中華的コスモロジー」)を、大っぴらに、大真面目に、肯定的に説いて、日本や台湾を貶めるような輩が、それも中国ではなく日本の学者の中にいるとは、冗談にしてもタチが悪すぎます。
台湾有事発言に絡んで中共を擁護する人たちについて、ガザの問題などでイスラエルが嫌いだからといってよりによってナチスを賞賛するようなものだ、と評している人を X (旧Twitter) で見かけまして、なるほどうまい比喩だと思いました。が、あれは比喩ではなかったのですね。〈こんな人たち〉の性根はまさにナチスなのですよ。まあ、前から分かっていたことではありますが、現在の台湾絡みの言辞においては彼ら自身が隠さなくなってきているだけです。呆れ果てました。
今さら言うことでもないですが、日本はそもそも607年に聖徳太子(推古天皇摂政)が遣隋使の小野妹子を送って煬帝(隋朝皇帝)に渡した国書によって、「華夷秩序」からの離脱を宣言しています。これは日本側が勝手に言っていることではなく『隋書』に書かれています。小学校で習いますよ。その時の煬帝も今のプーさんと同じく激怒したみたいですけどね(笑)