ちゃんと保険に入っておきましょう。以上。

──で済ませてかまわないのですが、一応もう少し言っておきましょうか。

基本的に日本人が外国に行く場合と同じです。国外で医療費をカバーできる何らかの保険に入っておかないと、行った先でうっかり盲腸にでもなろうものなら、入院と手術で100万円や200万円は軽く飛びます。けがをして病院に行っただけでも数万円が飛びます。私も海外旅行に行くたびに必ず旅行保険に入っていますよ。最近は新型コロナウイルスに感染した場合の医療費や隔離滞在費も問題となりますしね。

日本に来る外国人でも話は同じで、何らかの保険に入っていないとまずいです。なお、日本においては、在留期間が3カ月を超えることが見込まれる外国人は、日本人と同様、会社の保険に入っていなければ国民健康保険への加入が義務付けられています。

在留資格のない外国人が心疾患で「手術しないと命を落とす可能性がある」と診断された。費用を150万円と見込み、支援グループでとりあえず100万円を工面。ところが「うちは外国人は2倍」と300万円を要求されたという。「差別ではないか」と掛け合ったが「ルールだから」とにべもない対応。より負担の少ない別の病院で手術を受け、命をつないだ。
[同]

この例について具体的な事情は分かりませんが、日本の病院が無保険の外国人に対して冷たいという例はいくらか実際にあるようです。というのも、無保険の外国人が治療費を踏み倒して母国へ逃亡するということが起きているためです。ええ、そうです、ちゃんと保険に入っておけばいいのです。

もちろん、人道的な見地から無保険の外国人への医療も何とかしたいという気持ちは分かりますし、縁があれば協力できる範囲で協力してもいいとは考えています。ただ、上記記事みたいに、日本は何てひどい国なのかという筆致で書かれているのはどうも気に入りません。日本は諸外国と比べても医療へのアクセスが非常に良好なほうですよ。何せ、呼んだのが誰であろうと救急車が無料で来てくれるほどですからね。

それと最後にもう一つ。上記記事では「在留資格のない外国人」「在留資格を失った状態で日本にとどまる外国人」という表現をしているのが、どうもモヤモヤします。なぜ〈不法滞在の外国人〉と書かないのでしょうか。