どうもまだ今が非常時だという認識のできていない人が多いな、と思います。どうも日本人は平和ボケしていて、諸外国のように国家の強権による都市封鎖が行われたりもしないので、非常時と言われてもピンとこないのは仕方がないのですけど。

あのね、非常時なのですよ、今は。平時ではないのです。別に「欲しがりません勝つまでは」とか言うつもりはないのですが、それなりの緊張感は持たないといけませんよ。

医療のほうもトリアージ的な態勢をとっていますし──という表現を私はよく使いつつ、でももしかしたら「トリアージ」という言葉を知らない人が多いのかもという気がしてきたので、今日はまずこれについて書きます。分かっている人は本稿を読む必要はありません(笑)。また、私の文章なんざしょせん素人の書き物ですから、正確かつ詳細なことを知りたければ信頼に足る医療関係の情報源を当たってください。

「トリアージ」──フランス語で「選別」という意味だそうです。災害や事故で多数の傷病者が出ている現場で、救急のために患者を選別して治療の優先度を決めることをいいます。

具体的には、色付きの札を患者の手首に巻き付けます。

  • カテゴリー0: 黒: 死亡、もしくはもう助からない。
  • カテゴリーI: 赤: 一刻も早く処置しないと命が危ない。
  • カテゴリーII: 黄: 命に別状はないが早く処置する必要がある。
  • カテゴリーIII: 緑: 処置を急がない、もしくは処置不要。
トリアージ・タッグ

写真は、日本で使われているトリアージ・タッグです。例えば「カテゴリーII」と判定された患者には、緑の部分をちぎって一番下が黄になる形で巻き付けます。容体の悪化が認められれば黄の部分をちぎって赤の扱いとなります。

最もシビアなのは「カテゴリー0」の黒の判定です。まだ息があっても、処置したところで助からない状態と判断されれば黒になり、搬送されないどころか応急手当てすらされません。家族としては納得のいかないところですが、多数の傷病者がいる現場とはそういうものです。

また、脚を骨折したような怪我は(骨折の仕方にもよるかもしれませんが)恐らく「カテゴリーII」の黄になります。脚を一本折ったところで死にはしませんから。それがトリアージの考え方です。とにかく赤すなわち「カテゴリーI」が最優先で、それ以外は後回しです。

これ、実際にそんな話を聞いたことがあります。どこだったか忘れましたが国内で大地震が起きた時に、自宅で脚を骨折する重傷を負った人がいました。119番しても救急車なんか来やしない状態のため、家族が車で病院まで運んだのですが、病院では患者が大量に来るのでトリアージに準ずる態勢をとっていました。脚の骨折なんて〈命に別状はない〉のですぐに手当てしてもらえないどころか、受付さえ通してもらえずに外で半日並んで待たされたと言います。

さて、ここで話は戻ります。今は非常時なのです。日本の医療全体が新型コロナウイルス対応でトリアージ的な態勢をとっています。「邪魔だから風邪ぐらいで病院に来るんじゃねえ。え、熱が出たから新型コロナかもしれねえって? 高齢者や妊婦や子供は別として、しばらく家で寝て様子を見ろ、大概はそれで治る。4日たって熱が下がらなかったり、その前でも容体がひどくなるようなら病院に来い。ただしいきなり来ないでまず電話で相談しろ」──そういう状態です。

こういう非常時に、みだりに「不安だからPCR検査してほしい」などと医療機関に押しかけたりするのは、クレーマーよりもたちが悪いです。そして、大衆がそういう誤った行動をとるようにわざわざ煽る野党、似非リベラル、似非左派、悪意のマスメディアは、医療崩壊を起こすことを意図しているとしか思えません。さらに、国民全員を検査して無症状者も含め感染者全員を隔離しろなどと、想像するだに恐ろしいことを平気で要求し喚き立てるのは、国家と国民の敵であるとの評価を免れません。