れいわ新選組の〈弱者ビジネス〉はお家芸となりつつあるようだ。山本代表が自民党と公明党に「うちの難病患者さまと重度障害者さまに参院の委員の割り当てをお譲り申せ」と超法規的措置を要請したのに続き、議員本人もまた超法規的措置を求めだしている。

重度障害者は同法[障害者総合支援法]に基づく「重度訪問介護」で日常生活の介助を受けられる。本人負担は最大一割だが、仕事中に受けるサービスは全額自分か雇用主の負担。木村さん[木村英子参院議員、れ新所属]は寝起きの水飲みから食事、排せつ、入浴や外出などの二十四時間介護で公費負担を受けている。

会見では、議員になった後は、今までのような公費負担が適用されなくなると説明。「介護者がいなくては生きていけない。安心して働けるように、現在受けているサービスをそのまま利用できるようにしてほしい」と訴えた。

このたびめでたく国会議員となった木村氏は、これから最低でも月額129万4千円の歳費(報酬)を受け取ることになるので、彼女の言い分には理がない。収入ゼロの状態から月収129万4千円になるというのに、収入ゼロの時に公費負担で受けていた福祉サービスをそのまま利用させろとは、どういう料簡なのであろうか。しかも、国会議員には歳費のほかに、文書通信交通滞在費(月額100万円)だの、立法事務費(月額65万円)だの、公設秘書の給与(第1公設秘書なら月額34万4300円から)だのがいろいろ支給されるのに加え、JRや飛行機にタダで乗れるという特権もあって、一体何が不足なのか私には想像がつかない。

もし、歳費を受け取るまで財布がもたなくて困るというのであれば、それこそその程度のつなぎの金は、れ新が貸せばいいのではないのか。クラウドファンディングで集めた何億円とやらのごくごく一部を使えばよかろう。

もちろん、訪問介護の制度には問題点があるらしいということは認める。重度障害者が学校に通いたかったが、通学に介護を受けると公費負担にならなかったりして、泣く泣く進学をあきらめた、というような例もあると聞いた。ならば、そういう法制度の改善のために働くのが、まさに国会議員の仕事であろう。木村氏は、それが自分の仕事だというのが分からないのか。

木村氏は何のためにバッジを付けるのか。彼女は税金で面倒をみてもらう立場ではなく、今は税金で国民の面倒をみるためのしくみを作る立場に変わったのだ。たわごとも程々にしろ。

国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
[日本国憲法 第41条]

国権の最高機関の一員となったことを自覚できない者、相応の責任感もない者に、国会議員が務まるとはとうてい思えない。