いまの学生はどうして、こんなに無感動で元気がないのか。特定秘密保護法という不気味な法律が国会を通ろうとしたとき、僕らの学生時代だったら、日本中の学生が立ち上がって、大デモンストレーションが起きたでしょうね。
[『東京新聞』2017年9月19日付]

とある映画監督のこの言葉が、最近になってにわかにTwitterで取り上げられている。とても分かりやすい。

つまり、自分たちが学生だった頃に抗議デモを行ったような対象に対して、今の学生たちも抗議デモをやるべきだ、と言っているにすぎない。もっといえば、私の気に入らないものに対して若い奴らは抗議しろ、と言っているにすぎない。言葉の上では「若者は反抗しろ」と言いながら、実のところ「若い奴らは私に従順になれ」と言っているにすぎないのである。

もはや自分が若者たちから抗議される存在になってしまったことに気づかない老人の姿に、人間的成長を見出だすのは困難だ。