大九明子監督『勝手にふるえてろ』 日本、2017年

〔2018年1月17日(水)鑑賞〕

最初に白状しておくが、本作を見に行ったのは、松岡茉優を見るためである。女神であり副業として女優もやっていることで私の中では知名度が非常に高い松岡茉優であるが、映画で主演を張ったのは本作が初めてだ。映画そのものはどうでもよく、とにかく私は松岡茉優を見て過ごす時間が欲しかったのである。

しかし、そこには大きな誤算があった。松岡茉優が女神兼天才女優であるのはもちろんだが、映画そのものが神話ともいうべき最高傑作だったのである。そう、大九明子監督も神だったのだ。

中学時代の同級生に10年間(全然会っていないのに)脳内片思いを続けつつ、職場の同僚にコクられてしまった、24歳のこじらせ腐女子の繰り広げるドタバタのラブコメ、と簡単にまとめてしまうわけにはいかない。ああ、これって、そうだよ、綿矢りさワールドだよ、と思いながら見ていた。

妄想と現実の間に境目がなく提示される映像と音声は、観客を容易にその世界に引きずり込んでくれる。こういう脚本の書き方というのがあったのかと感心させられるし、それをうまく形にする松岡茉優の才能にも改めてほれる。

すごい。とにかくすごい。

推奨度: 95点(/100)