それはまだ私が喫煙者であった頃。ある飲食店に入った時、店員に「たばこはお吸いになりますか?」と訊かれた。「はい」と私が答えると、店員は状況を確認したのち、「ただ今喫煙席の空きがございませんので、少々お待ちいただけますでしょうか」とアホなことを私に言ってきた。「じゃあ禁煙席でいいですよ」と私は言ったのだが、その店員はきょとんとして、さらにアホなことを言ってきた:「あのぉ、禁煙席ではたばこはお吸いになれないんですが」─。

そして、非喫煙者となった私に今日起きた出来事。ある飲食店に入ると、店員に「たばこはお吸いになりますか?」と訊かれた。「吸いません」と私が答えると、店員は状況を確認したのち、「ただ今禁煙席の空きがございませんので、少々お待ちいただけますでしょうか」と──。

何が問題なのか、分かるだろうか。そう、そもそもの訊き方として「たばこはお吸いになりますか?」はおかしいのだ。私の知る限りほぼすべての飲食店がこういう訊き方をする。ここは「喫煙席、禁煙席のご希望はありますか?」と訊くのが正しいのである(そういう訊き方をしてくれる店もたまにあるが少ない)。

どちらも同じではないかと言う人は、論理が分かっていない。「たばこはお吸いになりますか?」という質問は、文字通り客がたばこを吸うかどうか、喫煙者であるか否かを問うものである。そして、喫煙者だからといってそこで必ず喫煙席を要望するとは限らないし、非喫煙者だからといってどうしても禁煙席でなければ嫌だとも限らない。人それぞれだし、時と場合にもよる。

だから「たばこはお吸いになりますか?」はやめて「喫煙席、禁煙席のご希望はありますか?」と訊いてほしいのである。そうすれば、私は「すいてるほう」と答えることができる。これは全国の飲食店経営者に知ってもらいたい。