「共謀罪」法案について私は賛否いずれとも決められないでいるが、少なくとも反対の側の言っていることは頭がおかしいとしか思えない、ということを先日書きましたけれども、それについてもう少し述べておきます。

まず、共謀罪は冤罪を増やすという話。冤罪ということでいえば、別に共謀罪に限った話ではなく、痴漢冤罪などのほうがよほど恐ろしいですよ。むしろ、共謀罪の冤罪は調べれば嫌疑不十分で不起訴処分になる可能性が期待できますから、自称被害者による「この人、痴漢です!」の一言だけでろくな証拠もなしに有罪判決まっしぐらの地獄に突き落とされる痴漢冤罪よりもはるかにましです。治安維持法云々という声も聞こえますが、あの時代とは司法制度やら何やらが違うので、そういう並べかたはできません。

次に、共謀罪によって「物言えぬ社会」になるという話。過去数十年を振り返ってみますと、むしろリベラルを標榜する人たちによるジンケン運動というか言葉狩り、いわゆるポリティカル・コレクトネスというセーギノミカタ圧力によって、実際には問題があるとも考えられないのに使えなくされてきた言葉・表現が数多くあります。「物言えぬ社会」を着々と作ってきているのは、むしろ共謀罪に反対してきた人たちでは、というのが私の感覚です。

繰り返しますが、私は「共謀罪」法案について現時点では賛否いずれでもありません。強いていえば、条文の曖昧な部分について議論した上でしっかり明文化すべきだと考えますから、現状ではまだやめておいたほうがいいのかなとは思います。ただ、法案に反対を唱えている人たちの言っていることが、頭がおかしいとしか思えないようなことばかりなので、そちら側に付きたくはないということです。