テクスト: 大石圭『人でなしの恋。』 東京、光文社、2016年。

〔2016年12月21日(水)読了〕

青年医師、慎介の父の再婚相手は年若いルナだった。そのルナが事故で半身不随になり、父は彼女の介護をしていたが、父が亡くなったため慎介がその役を引き継ぐ。慎介はルナへの許されぬ思いを秘めながら、彼女の代理となる女を狩っては監禁する。

「呪怨」シリーズのノベライズを手がけた大石圭氏であるが、オリジナル作品のほうが断然いい。倒錯ものはやはり大石氏だよな、と私は思っているのだが、本作は際立って耽美的である。そして、いささかグロい。人に薦めることができるかといえば、ある意味では大変に難しい。

題名にある「人でなし」とは誰かといえばもちろん慎介のことであるが、まあ、読んでいけばどいつもこいつもろくなものではないという感じである。