無防備すぎるのはまずい
名古屋クスリ屋問題について、日経が世紀の大スクープを抜いたものの、その後他の報道媒体がほとんど言及していないという不気味な状況が続いています。しかも、昨日知人にフェンタニルの話題を振ったところ、そもそもフェンタニルを知らないと言うので、唖然としました。世間的にあまり知られていないものなのでしょうか。日本人があれに無防備すぎるのはかなりまずいと思います。
フェンタニルとは合成麻薬の一種で、本来は医療用の強力な鎮痛剤です。近年は正規の医療用ではない亜種が主にアメリカで大量に出回っており、近年アメリカではその濫用による死者が年間7万人に上るという異常事態になっています。中共から原料がメキシコに輸出され、メキシコの闇工場で製造されて、陸路でアメリカに持ち込まれています。トランプ米大統領が中共に高関税をかけることにしたのも、これにブチキレているからだと言われており、中共は慌ててフェンタニル原料の輸出規制を始めたりしています。ここに関わってくるのが、例の名古屋クスリ屋問題というわけです。
フェンタニルが他の麻薬や覚醒剤と比べて何がどうヤバいかというと──
- とにかく強力。モルヒネの100倍だそうです。なので、マイクログラム単位のごく微量で効きます。医療用の正規品は適正な量が配合されていますが、そうでないものは粗製濫造なので均等な配合にならず致死量超え──。
- 激安。一般に麻薬や覚醒剤はそれなりに値が張るため、買う金がなくなるとあきらめたり犯罪に走ったりしますが、フェンタニルは安いので日常的にたばこ感覚で簡単に摂取できてしまいます。
- そして当然、依存性と中毒症状が苛烈。
探してみたら、半年前にTBSが簡潔にまとめて報道していました:
それと、アメリカでは警察官が車を止めて職務質問をした際に、車中にあったフェンタニルをごく微量吸い込んだか何かでの過剰摂取により死にかけたりしています:
日本の警察官も様々な不測の事態に備えて、ボディカメラは装着したほうがいいと思いますね。
さて、日本の場合は社会・文化的な背景から、フェンタニルが広まる素地は薄いとも言われています。とはいえ、何せアメリカで年間7万人死んでいる強力かつ激安のクスリですから、十分に啓発しておくべきものではないでしょうか。