自転車の危険運転は目に余るので、この法改正案は良いと思います。ただ、自転車利用者は免許証などを携帯しているわけではないため、違反切符を切る際にどうやって本人確認をするのかというのが懸念点ですが。

さて、この法改正案には異論も少なくないようです。

改正案が公表された4月以降、警察庁には「歩道走行は全て禁止されるのか」「狭い車道もあるのに取り締まるのはおかしい」といった計約5900件の意見や問い合わせが相次いだ。
[同]

自動車の運転免許を持っていない人の感覚だと、そういう疑問が出てくるのも分かります。けれども、あまり心配する必要はないと思いますよ。

「自転車歩道通行可」の標識

まず、そこそこ交通量のある道路であれば、歩道に「自転車歩道通行可」の標識(写真)があり、そこは自転車が歩道を走ってもかまいません。私の住む街で意識的に見て回っても、「自転車歩道通行可」でない歩道を見つけるほうが困難です。ですので、自分がふだん自転車で走り回る生活圏については、その標識のない歩道があるかどうかを確認しておけばいいでしょう。

次に、自転車の通行区分に関する規定はかなり曖昧で、

  • 自転車が車道を走るのが危なそうな場合は、歩道を走ってもよい。
  • 13歳未満の子供と70歳以上の高齢者の自転車は、歩道を走ってもよい。

──ということになっています。車道が危なそうな場合は、なんてのは主観的としか言いようがなく、本当にかなり曖昧なのです。

だから、単純に自転車が歩道を走ったからといって取り締まられることは、絶対とはいえませんが特殊な事情がなければまずないでしょうね。現実的には、歩道通行時に歩行者を優先しなかったとかで取り締まられることになるでしょう。実際、歩行者を蹴散らすようにチリンチリン鳴らしながら歩道を走るジジイ自転車なんかを見かけますので、ああいうのがビッシバッシと捕まることになると思います。

むしろ自転車が気をつけるべきは、歩道を走るのがどうのこうのという以外の事柄だと思います。ながらスマホ、ながらイヤホン、車道逆走、信号無視、一時停止違反、などなど。

そうそう、運転免許証を持っていない人は本当に分かっていないみたいですけど、逆三角形の「止まれ」の標識があったら、自転車も絶対に停止線でいったん停止しないといけないのですよ。もし停止線のペイントが薄くて判別不能の場合は「止まれ」の標識の位置が一時停止位置になります。

まとめると──

  • 自転車は車道通行が原則。だが、絶対に歩道を走ってはいけないかというと必ずしもそうでもないので、あまり神経質にならなくてよいのでは。
  • ただし、車道を走る際には「車両」扱いになるので車両として交通法規を守らなければならないし、歩道を走る際にはあくまでも歩行者優先を守らなければならない。

一番よろしくないのは、車道を走ってきたくせに歩行者用信号で横断歩道を渡ったりするようなやつですな。よく見かけます。取り締まりの警察官がいたらたぶん一発アウトです、それ。