あにこの理あらんや
NHK大河ドラマは海外でも放映されることが多いので、「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」というタイトルは中国語圏でどうなっているのかが気になり、ちょいと見て回りました。
台湾においてはどういうわけか2種類が使われているのですが、正式なのは (1) のようです。
- 「豈有此理〜蔦重繁華如夢故事〜」
- 「大胆狂徒〜蔦重繁華如夢故事〜」
「豈有此理」は漢文訓読すると「あにこの理あらんや」(どうしてこの道理があろうか、いやない)ですが、現代中国語でも普通に使われる慣用句のようでして、そのまんま「こんな道理があるかい」「冗談じゃねえや」「てやんでい、べらぼうめ」みたいな意味だそうです。なお、中国語で「故事」は日本語と少し違って「物語」の意味ですね。
ついでに、NHKワールド公式での英語タイトルも見てみましたが、これがなかなかうまい翻案になっているので唸らされました。
- “Unbound” << “NHK World PREMIUM”
英語 “unbound” は、原義としては “bind” されていない、つまり「縛られていない」「束縛されない」という意味ですけれども、同時に「本がまだ綴じられていない」「製本されていない」という意味にも使われます。
蔦屋重三郎の生きざまを見事に1語で表していますね。全く、プロの翻訳家の仕事には感服させられますよ。
私には絶対思いつきませんから、こんなの。せいぜい元の日本語から必死に考えて “No Way!: The Dreamy Tales of Tsutaju's Glory” てなもんですよ。