昨夜放映のNHK大河ドラマ「光る君へ」第16回「華の影」は、いきなり初っぱなから予告にあった通りの『枕草子』の「高炉峰の雪」から始まり、清少納言の面目躍如でありました。もしかしたらそのまま「雪山の賭け」になるのではという雰囲気の展開に思われましたが、さすがにそれはありませんでしたね。そういう脚本にしてしまったら時系列が狂いすぎますし。

さて、都には疫病が流行して大変なことになっていた時期とのことで、今回は悲田院が出てきました。悲田院というと、私の頭の中では光明皇后とリンクされていて平城京の施設という印象があるのですが、引き続き平安京にも設けられていたようです。しかし、まひろ(紫式部)がなりゆきで悲田院に赴き、手ずから患者たちの手当てをすることになるというのは、いくらなんでも突拍子もない筋書きだと思いますよ。

疫病の惨状を帝に奏上するように藤原道長が訴えるのに対し、関白である兄の藤原道隆は冷たくあしらうのですが、その時にも盛んに水をガブガブ飲んでいたのはやはり糖尿病ゆえでしょう。あの人もあと4、5年で亡くなることになります。

ということで、あとを継ぐ藤原道兼と道長に期待がかかるわけですが、今回の道兼は俄然かっこよくなりました。「汚れ仕事は俺の役目だ」という台詞にはしびれましたよ。脚本家の愛を感じますね。道兼がいわゆる「七日関白」の末に最期を迎える時、道長にどんな言葉を残すのかは注目したいところです。

そうしてなんだかんだあって、疫病に罹患してしまったまひろが峠を越えた朝、またいいところでうまくヤマガラの声を使ってシメとなった今回でありました。本作のせいでヤマガラを飼いたくなってしまうのですが、あれはメジロなどと同じで今は飼育が禁止されている野鳥であり──。巣箱を設置したら来てくれますかね。というか、普通にこのへんで声を聞く鳥でもないので、やはり無理でしょうか。