EVの普及を目指す、と日本で言うときの「EV」には、一般的にハイブリッド車(HEV)が含まれるわけでして、私もそういう考えかたをしてきましたし、菅前首相がカーボンニュートラルの方針を表明したのもそれが前提でした。ところが、主にヨーロッパでは、EVはEVでもバッテリー車(BEV)、つまり内燃機関(エンジン)がなくて燃料を一滴も使わない純然たる電気自動車にこれから一気に切り替えてゆくべき、という考えが潮流としてあるようなのです。だから、トヨタが長期計画でハイブリッド車の生産を発表した日には、ヨーロッパ方面から「排ガスを出す車を作り続けるとはけしからん」という批判が飛んできたりもしました。

これ、よく言われていることですし私もちょっと書いた覚えがありますけど、この先10年や20年程度で世界じゅうの燃料自動車をバッテリー車に切り替えるなんて無理なのですよ。先進国だけでなく途上国の田舎町に至るまで充電ステーションを作りまくらなければいけませんし、それだけの配電網も必要になりますし、なにより発電所を増やさなければなりません。日本の場合、現在ある原発をすべて稼働させるだけではとうてい足りず、新たに多数の原発が必要という計算になるそうですが、日本における環境カルトの人たちは大概が反原発カルトでもありますから、原発は駄目という騒ぎになって火力発電所なんかを建てまくらなければならず、なにそれ二酸化炭素を出しまくりですねというオチですよ。

だから、ヨーロッパは何でそんな明らかにおかしい方向にみんなで突っ走っているのか、ヨーロッパの連中はバッテリーが発電するとでも思っているのかと、前から不思議でならなかったのですが、やはり早々に行き詰まったみたいですね。

ハイブリッドという本来あるべき方向性に正された感じです。

これもまたよく言われることなので私が言うまでもありませんが、だいたいバッテリー車へ一気に転換なんていうのは、内燃機関やハイブリッドで日本車に勝てない中共とヨーロッパが環境を名目に仕掛けてきたゲームチェンジですからね。エンジン技術のいらない自動車市場にしたかったわけですよ。無理なのになぁ。