新型コロナウイルスの水際対策での入国時検査がようやく10月11日から原則撤廃され、入国時の手続きがほぼ正常に復することとなった。

上記記事には、日本経済新聞社の上級論説委員の方が簡単に解説を付しているが、その内容がそのものズバリなので一部引用する:

欧米などに遅れること半年以上、岸田首相が「6月にはG7並みに緩和」とロンドンで言い放ってから4カ月以上。小出し緩和の連続で日本離れが起きたのを横目に、国内での新型コロナへの感染急増が始まり、政治的にも踏み出せなくなりました。ウイルスが外国から持ち込まれるという段階はとっくに過ぎたのに、意味の乏しい検査やビザ義務、入国を課し続けたのは、日本という国の魅力を明白に低下させました。
[同。ただし部分強調(マーカー表示)は筆者による]

全くもってその通りとしか言いようがない。しかし、これまで水際対策の段階的緩和の方針が示されるたびに、ニュース記事のコメント欄やSNSなどネット空間には「国内の感染者が増えているのに水際対策緩和とはけしからん」という論理性のかけらもない衆愚の声が少なからず湧き、ワイドショーあたりもそれを煽り気味であった。私は、世の中はアホが多いなと呆れながらながめていたけれど、さらにアホかと思ったのが、そういうアホな声に流されてズルズルとやってきた岸田政権の体たらくだ。

本日政府が10月11日より始めると発表した内容は、アメリカが6月12日からやっていたこと、あるいはタイが7月1日からやっていたことにすぎない。

しかもタイは、10月1日からは入国に際してワクチン接種証明書や陰性証明書も不要となり、ほぼ完全にコロナ禍前の状態に戻る。

しかるに、日本は一体何をやっているのか。何カ月遅れているのか。このたび政府の発表した水際対策緩和は支持するが、とにかく遅すぎる。岸田政権の〈ワイドショー民主主義〉は、今後もこの調子で国益を損ねてゆくように思えてならない。実際、統一教会問題などもそうなのだし。

日本における新型コロナ対策での公衆衛生上の取り組み、すなわち、手洗い、マスク、密の回避、ワクチン接種などは、まさに世界の手本といってよい優れたものである。しかし一方で、謎の〈鎖国根性〉は世界の中でかなり浮いていると言わざるを得ない。