「いかなる人の命も尊い。殺されてよい命などない」──などとふだん熱く論じていそうな人々の一部が、今や「安倍氏は暗殺されて当然」と平然と言っていたり、あるいは言いたくてムズムズしていたりする様子に、失笑を禁じ得ない。

非常時には人間の本性があらわになるからよく観察しよう、と私は一昨年から2年以上にわたり言い続けてきた。安倍元首相暗殺は、その報が国内のみならずそれこそ世界じゅうを駆け巡ったことからも、非常事態に準ずる事件であるといえる。そう、こんな機には人間の本性があらわになるから、改めてよく観察していきたい。

わが真宗大谷派にはびこるカツドーカ僧侶たちも例外ではない。いつも「兵戈無用」の幟なんぞを掲げて「殺したくない。殺されたくない。殺させたくない」とか叫んでいるあの人たちの動向を、よく見ておこう。宗門の機関紙なんかをチェックしてみたらなかなかおもしろそうだ。

先に言っておこう。彼らは必ず「殺人を正当化するわけではないが」というたぐいの言い訳的な〈枕詞〉から論を始めるだろう。しかし、高校の国語の授業で教わる通り、枕詞には実質的な意味などない。