こういうのは要するに教科書的なきれいごとであって、現実認識としてはずれていますね。

デマや陰謀論にコロッと転ぶ人たちは〈真実は闇の力()によって隠されているから、明らかなデータとして出てくることはない〉という発想を基本にしているため、いくらきちんとしたデータに基づく丁寧な説明を受けても、まず納得しません。何せ、彼らにしてみれば〈きちんとしたデータ〉は信用できないのですから。

また、彼らは〈無知蒙昧な大衆が知らない真実を自分は知ってしまっている〉という歪んだエリート意識にとらわれています。いくら説諭されようとも〈自分は真実を知ってしまったために、闇の力()に操られた無知蒙昧な大衆によって弾圧されている〉という感覚がひたすら肥大するだけで、まず納得しません。

要するに、彼らとまともな対話を試みるのは無駄だということです。

この種のことについては、アメリカですでに、友人知人がQアノンにはまってしまったときはどうすればいいか、ということを心理学者だか社会学者だかがまとめていました。詳しくは忘れましたが要点としては、「いやぁ、大変な時代になっちまったね」とうなずきつつ、懐かしい昔話などに誘導するのがよい、とのことでした。