ワーキングホリデー(ワーホリ)の経験を履歴書に書くのはどうなのかという話をSNSで見かけたので、ちょっとググってみたのですが──

1年間、海外で貴重な経験をされたことと思います。履歴書では、学歴、職歴と分けて記載しますので、職務経歴の下に一行スペースを設けて、ワーキングホリデーについて記載されてはいかがでしょうか。

あちゃー、こんなことを触れ回っている人がいるのですね。「海外で貴重な経験」だとさー。罪深いわー。若い人たちが真に受けたらまずいと思うのですが。

ワーホリなんてはっきりいって、採用する側(国内企業、外資系企業を問わず)から見れば、バックパッカーと同じ扱いです。特殊な例は別として、基本的には履歴書に書いてはいけませんよ。バックパッカーがただ観光ビザでブラブラしているのに比べ、ワーホリの場合は小遣い稼ぎのため合法的に少々働くことが許されているというだけの違いですから。

自分にとっては貴重な人生経験だったと言い張る人がいるでしょうが、履歴書というのはあなたが貴重な人生経験だったと思う事柄を書くものではなく、就職希望先に対して職歴等を示すものです。例えば、言ってみれば3年間ニートだったというのさえ、大概の人には無縁な「貴重な人生経験」ではあり得ますが、それが職歴等の扱いになるのかという話です。履歴書に余計なことを書けば、むしろ〈こんなことを履歴書に書いて評価が上がると思っているような奴〉という評価を下されます。

自分はワーホリでただ遊んでいたのではなく、バイトして稼ぎつつ学校に通っていた、と言い張る人もいるでしょうが、どうせ現地の語学学校とかでしょう。学位や資格の取得を伴わないなら、履歴書に書くべきではありません。駅前の英会話教室に通ったことを学歴欄に書いたりしないのと同じです。もし就職活動において強力な武器になるような資格を取得したのであれば、それは資格欄に書いておけばよいのです。語学学校に通ったことを経歴として書くのではなく、英検1級取得のようなことを資格欄に書くのです。

私は実際に結構な人数のワーホリの人たちを現地で見たことがあります。TOEFLを受けてアメリカの大学へ交換留学に行けるほどの英語力がないなどという次元の話ではなく、大概は高校生以下の英語力しかありませんでした。ですから、土産物屋で日本人観光客の相手とか、和食レストランでのウェイター/ウェイトレスといった、ほぼ日本語だけで何とかなる小遣い稼ぎでしのいでいました。そういう仕事にありつけなかった人たちは、モップがけとか皿洗いですよ。何せ言葉ができないので、言葉のいらない雑用しかできません。こういったことは企業社会の人たちも大概分かっていて、履歴書に「ワーキングホリデー」という文字を見れば即座に皿洗いの姿を連想しますから、下手に履歴書に書いたりしないほうが無難です。

誤解しないでくださいね。別にワーホリ自体が駄目だと言っているわけではありません。若いうちにああいう経験をしておくのも悪くないと思います。ただ、基本的には履歴書に書けるようなものではないということです。分かりやすくいえば、海外に1年いましたというだけのことには、企業から見れば価値がないのです。