確か昨秋だったと思いますが、早いうちにスマートフォンを持っておいたほうがいい、と知り合いの年配の方に助言したことがあります。

要点としては──

  • 経済・社会のしくみが、スマホを持っていることを前提としたものへと急速に変わりつつある。今後はスマホを持っていないと不便なことが増える。
  • ITの進化は恐ろしく速いので、スマホを使い始めるのが遅ければ遅いほど追いついていけなくなる。スマホがないと不便だと実感するようになってからでは手遅れ。

まあ、今まで私がキャッシュレスなどについて言ってきたこととかぶっていますね。

ところが、その方は「子供や孫からもさんざんそういうことを言われてるんだけどね、わたしは今の携帯電話で別に不便もないし、これでいいのよ」の一点張りでして。

子供や孫からさんざん言われてもスマホを使おうと思わない方に、他人の私が無理に説き伏せて使わせようという気にもならなかったので、それ以上引っ張るのはやめたのですが、私は内心思っていました:「今の携帯電話で不便はないって、ところがところが、これから不便なことだらけになって打つ手がなくなっていくんだよなぁ。自分の好き嫌いの話じゃなくて、世界がそうなっちゃってるんだよなぁ」─。

具体例としては、こういうことです:

紙の通帳というのは銀行にしてみればひどい金食い虫なので、こんな前時代的なものはもうさっさと廃止したいのですよ。そのため通帳レス口座への移行を促すべくいろいろとキャンペーンを張ってきたのですが、この流れの中で、いずれは紙の通帳が有料化されるだろうとあちこちで言われていました。

そしてついに、みずほ銀行が先陣を切りました。他の金融機関も追随することでしょう。

さて、通帳レス口座というのは、早い話がキャッシュカードだけの口座です。キャッシュカードがあれば、預け入れ、引き出し、残高照会、振り込み等はATMでできますから、日常的には特に問題はありません。

では何が問題になるかというと、キャッシュカードだけでは紙の通帳のように過去の履歴を一覧することができない(現在の残高しか分からない)ということですね。履歴を見るためには、スマホのアプリか、パソコンのネットバンキングを使わないといけません。

ええ、ここでスマホが出てくるわけですよ。つまり、スマホを持っていないと今後は銀行口座の管理が不便になってくるということです。せめてパソコンを使っている方なら何とかなるのですが、スマホもパソコンもないとなると──。