東京での新型コロナウイルス感染者が今日いきなり増えたのは、五輪の延期が決まったので都が事実を隠蔽しなくてもよくなったからだ──というデマがアチラ方面から湧いてくるかと思ったのだが、今のところ私の眺めている限りではまだないようである。

さて、東京はあまり楽観できない状況になってきた。小池都知事の緊急記者会見が開かれた。

東京都の感染者数の対人口比は、隣の埼玉県や千葉県と比べてもかなり高くなっている。また、1日当たりの新規確認数の増えかたが大きすぎる。感染者の確認は、潜伏期間や軽症期間からいって1乃至3週間前の感染が反映されると考えられるので、今日あたりに発表されたのは3月前半に感染した人たちのぶんだろう。

20日から22日までの3連休には、北海道の非常事態宣言の解除やらで変に気の緩んだ馬鹿どもが街に繰り出してしまった。桜が見たければ近所の落ち着いた公園にでも行けばいいのに、わざわざ上野公園の人ごみの中へ出向くという馬鹿どもだ。また、臨時休校で中高生たちが暇を持て余していたせいもあって、原宿などは結構な混雑ぶりだったようである。この3連休中に感染したぶんが数字に出てくるのは、恐らく来週、30日ごろからとなるだろうから、少なくとも4月上旬までは状況を注視しなければなるまい。

今夜の小池都知事の会見により、都民および隣県民の気が引き締められたことを期待したいところだ。

そしてもう一つ、今日は朝から大きなニュースがあった。タレントの志村けんがCOVID-19に罹患し発症、入院・闘病中だという。

〈東京都在住、男性、70代〉といった匿名ではなく、年代を問わず日本の誰もが知っている芸能人が入院・闘病しているという報は、社会に大きな衝撃を与えたはずだ。

それこそ私が幼稚園児の頃から見て親しんでいる志村であるし、しっかり治療して復帰してほしいと思っているが、それに加え、今回は大きな仕事をしてくれた彼にとても感謝している。彼の入院・闘病は、都民のみならず広く国民に対し、新型コロナウイルスへの警戒を改めて促す効果をもたらしたのではないだろうか。しかも、この実に絶妙な、狙い定めたようなタイミングだ。

志村けんの入院・闘病と、小池都知事の緊急記者会見──今日の2大ニュースは、日本の新型コロナウイルス対策において大きな節目を成したのではないかと思う。みんなが今日、改めて気を引き締めたことの効果が実際に出てくるのは、4月中旬から下旬にかけてであろう。その頃には、人工呼吸器も外して快癒した志村けんと、小池都知事とが笑い合っているところを見たい。今こそ、志村の「だいじょうぶだぁ」を聞きたい。

戻ってこい、志村。