テクスト: 浦賀和宏『彼女が灰になる日まで』 東京、幻冬舎、2015年。

〔2016年1月6日(水)読了〕

ライターの銀次郎は蘇生後脳症の昏睡状態にあったが、半年後に奇跡的に復活する。その彼のもとにやって来た男が突拍子もないことを告げる、「この病院で目覚めた人は自殺する。自殺者の魂が順に昏睡患者に乗り移っている」─。

オカルトなのか、それとも巧妙に自殺に見せかけた連続殺人なのか。銀次郎が記事を書くために調べを進めていった先には──。

浦賀和宏氏といえば『記憶の果て』『彼女は存在しない』『姫君よ、殺戮の海を渡れ』の3作品を読んだことがあって、いずれもそれなりに好きなのだけれど、本作については正直なところ「これはちょっと──」という感想を抱いた。ただしそれは、本作が銀次郎シリーズなるものの4作目だということを私が知らずに読んだために何だか中途半端に感じてしまったせいでもあって、私の読み方がまずかったという点を差し引いて考えてみれば、読みごたえのある一冊ではないかと思う。

少しわがままを言わせてもらうなら、落としどころは何となく見えているから、もうちょっと文章に振り回されたかった。