「女性たちが慰安婦になった経緯はさまざまであり、「20万人の少女が日本軍に強制連行された」とする韓国国内での一般的な認識は実態と異なる」──という、ごく当たり前のことを著書に書いた朴裕河パク・ユハ氏が、元慰安婦から名誉毀損で告訴され、しかもそのまま検察に起訴されてしまうような国の言う「正しい歴史認識」なるものが、どれほど正しいものなのかということは、時間と労力を費やして検証するまでもない。

ただ、強いていえば、朴氏の起訴に対して200人近い知識人ら(必ずしも朴氏の見解に賛同するわけではない立場の人も含めて)が抗議声明を出したという点は、注目すべき韓国社会の変化ではある。

ひと昔前の韓国なら、「親日派」のレッテルを貼られ攻撃され場合によっては身に危険が及ぶことを恐れ、誰もそんな抗議の声は上げなかっただろう。かの国の社会は、千里の道の一歩目にすらならないたった一センチか二センチながら、正常な状態への歩みを進めているようだ。相変わらず異常な韓国社会におけるほんのわずかな希望だけはそこに見ていいのではなかろうか。