東路の道の果てよりも

二十三. 長恨歌

ちぎりけむ昔のけふのゆかしさにあまの河なみうちいでつるかな
更新履歴: 平成20年1月3日

原文

世の中に長恨歌といふふみを、物がたりにかきてある所あんなりときくに、いみじくゆかしけれど、えいひよらぬに、さるべきたよりをたづねて、七月七日いひやる。

ちぎりけむ昔のけふのゆかしさにあまの河なみうちいでつるかな

返し、

たちいづるあまの河辺のゆかしさにつねはゆゆしきこともわすれぬ

現代語訳

世間には「長恨歌」という漢詩を、仮名書きの物語に翻案している人がいるそうだ、という話を聞く。とてもそれを読みたいのだけれど、執筆者に直接依頼することができない。しかるべき伝を頼って、7月7日に依頼する。

昔、玄宗皇帝と楊貴妃が「連理の枝」の契りを交わしたという、今日7月7日、その物語を読みたくて、天の川の波のようにこの願いを申し出るのですよ。

返事があった。

牽牛と織女が逢う天の川の川辺に心ひかれて、「長恨歌」が普通は不吉な物語とされていることも忘れてしまいました。

と、わたしの依頼を承諾してくれたのだった。